2014年の公開の韓国映画。韓国の非正規労働の実態を描いた社会派映画です。これは2007年に韓国のスーパーで実際に起きた不当解雇問題を取り扱っています。
大手スーパーで非正規社員のレジ係として働くソニは正社員登用の直前に不当解雇されてしまう。パート業務を外部委託するというスーパーの身勝手な方針のために、多くのパート従業員が解雇通告を言い渡されてしまう。
これを受け、40代から50代などさまざまな女性従業員が労働組合を立ち上げていく。そして、ソニたちはスーパーを占拠し、ストライキに走るのである。
キャストは「箪笥」などで知られるヨムジョンアやEXOのD.O.ことド・ギョンスなどさまざまな年代の方が活躍しています。主題歌は「叫び」でド・ギョンスが歌っています。
この映画の見所は、普通の主婦の方たちが労働組合を作り、社会の不条理に対抗することなのです。格差社会、ワーキングプア、非正規労働。これは社会からこぼれおちてしまった人の戦いを描いた物語です。
しかもこれが実際起こった事件であることも驚きです。この映画に出てくる主婦たちはシングルマザーだったり、二人の子持ちだったり、さまざまな個性の方がでてきます。
そんな彼女たちはスーパーに立てこもり、ストライキを起こすのです。しかし、それぞれの家族や生活があるため、子どももストに参加させざるを得ない家庭や途中で不安になる者もいます。
ソニの息子テヨンも最初は母のスト活動に不信感しか抱いていなかったのに、母がなぜこのような活動に出るのかを知ることで、変化していきます。
これは主婦たちの戦いを通して、社会の在り方や働くことの意義や価値を考えさせてくれる物語であると同時に、他人ごとではない物語なのです。
ある日突然解雇されることは、どの企業で働いていても可能性のあることなのだと思いました。また、この映画で象徴的だったのはスーパーのカートです。
ストを起こす時に、このカートを壁にしてみんなで必死に押している姿は非常に感動しました。物語の随所でカートが象徴的に描かれています。原題も「カート」と題されています。
韓国の映画界では国からの援助金も日本の比にならないぐらいでるため、非常に面白い社会派作品がたくさんあります。そのなかでもこの映画は週末興行収入第二位を記録し、韓国中で大ヒットを記録しました。
ぜひ、同じような労働問題を抱える日本でもたくさんの方にお薦めしたい映画です。
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