私がお薦めしたい本は、群ようこさんのエッセイです。
タイトルは、その名も「トラちゃん」。
子供の頃から大人になるまで、群家にやって来た動物や、ご近所の動物の思い出を書いています。
元は母の愛読書でしたが、今では私にとっても愛読書。
今も、定期的に読みたくなります。
表題作品の「トラちゃん」は、群家の愛猫の名前です。
最初はどこかからやって来た、子持ちのお母さん猫。
どこかで飼われていたらしく、コタツには一定時間しか入らない、エサを勝手に食べないなど、実にお行儀の良いお母さん猫。
「こんな良い子を捨てるなんて!」
と憤慨した母と子供たちは、親子猫を迎え入れました。
二匹の子猫は、臆病な子とヤンチャな子。
その彼らとの生活は楽しく、実に細やかに書かれています。
特に、家出した子猫が、帰った時のことです。
オスだと思っていたのに、股間を見たらサッパリしている。
「大変、タマがなくなった!」
と騒ぐ母と姉(群さん)に、
「バカ、元からメスだったんだよ!」
と、冷静に突っ込む弟。
何とも言えずテンポがよくて、つい笑ってしまいます。
また、色々な種類の動物が出てくるのも面白い点です。
金魚に犬、モルモットに小鳥、文鳥。
一番驚いたのは、弟が子供の頃から十年以上飼ってきた、金魚の「よしこちゃん」の存在。
驚異の長生きをした彼女(?)は、金魚とは思えない巨体になっていました。
弟の愛情を受け、スパゲティーなど色々なモノを食べて、小さな鯉ほどに巨体になりました。
ちゃんと呼べば、水面に出てくるし。
金魚だって、手間をかけて育てれば、ちゃんと応えてくれるんだなあ……と感心しました。
私も幾度か金魚をすくって育てましたが、大きくなる前に、死なせてしまいましたから……。
他にも、隣の飼い犬があまり飼い主に構って貰えず、可哀想だった切ない話も……。
飼い主が生まれた赤ちゃんに夢中になり、構って貰えない犬のピーターくん。
考えると悲しくて、可哀想で……。
群さんが回想して、
「もっと構ってあげれば良かった」
と後悔するくだりが、印象的でした。
動物の幸せは、飼い主次第。
猫と暮らす者として、忘れてはいけないなと、肝に命じました。
群さんの母に抱かれて息をひきとったモルモットや、最後は姿を消した、初代トラちゃん。
楽しい時期だけではなく、別れも書いているので、為になります。
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