映画『あん』のラストシーンは、泣けます。もしあなたが今、自分の置かれている状況に不満があっても、その気持ちに寄り添い支えてくれるような感動的な作品です。
あらすじを簡単にご紹介します。
どら焼き屋で雇われ店長をしている千太郎が求人を出します。
そこへ、どうしても働きたいという老女・徳江が現れます。彼女の作る粒あんはとてもこだわりがあり、簡単には真似できない美味しさなので、どら焼きは繁盛し、店の雰囲気や店長の心の中が変わっていきます。
しかし、ある噂のせいで状況が変化していきます。美しい桜や日本の日常生活が背景になっていて、誰にとっても身近な風景が撮影されています。
主なキャストは、樹木希林(どら焼き屋で働く老女・徳江)、永瀬正敏(どら焼き屋の店長・千太郎)、店の常連の中学生(内田伽羅・ワカナ)で繰り広げられます。
監督・脚本は、海外でも評価を受けている河瀬直美さんです。
見どころは、樹木希林さんの深い演技です。どら焼き屋の店長にゆっくりと話しかける様子を見ているとホッと気持ちが落ち着きます。
残念ながら、これが樹木希林さんの最後の主演作となりました。みんなで、樹木希林さんの作品に込めたメッセージを受け取りたいものです。
原作、ドリアン助川さんの『あん』(ポプラ社刊)のストーリーと大きく違うシーンもあり、比較するのが面白かったです。本も短時間で読めるので、事前に読んでおくと理解が深まります。
書き留めておきたい、心に残っている言葉があります。それは、徳江のセリフで「何かになれなくても、私達には生きる意味があるのよ。」
確かに、世間に名を残すことは難しく、夢と現実の差に悩んでいる人は多いと思います。でも私たちの生きる世界には、朝日や風、美しい桜や月があって、それを愛でるだけでも生きている価値があるのです。
この言葉や全体のストーリーを通して、自信を持って生きようという気持ちになりました。また、何者にもなれていない自分を卑下しないようにしようと思えました。
演技についてですが、本を読んだ印象ではどら焼き屋の店長は、物静かな人だと思っていたのですが、ぶっきらぼうな人のように演じられていて残念でした。
ただし、どら焼き屋の店長本人もまだまだ人生に迷っているところなので、仕方がないと思います。私の中の未来に対する不安な気持ちと響き合いました。
内田伽羅さんの演技は、単調であまり面白みがありませんでした。樹木希林さんの演技にはとても吸い込まれ、本当のおばあさんと会っているようでした。
映画『あん』は、生きる意味を考えて不安な気持ちに取りつかれている人や若い年代の人々にもお勧めしたいです。
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