直木賞作家であり、ドラえもんファンを公言している小説家辻村深月の脚本によるアニメ映画です。
アニメ「ドラえもん」のお馴染みのキャラクター達が、今回は月の世界をテーマに冒険をします。
「月にはウサギがいる」と信じていることを友人のジャイアンとスネ夫に笑われた主人公のび太は、子守用猫型ロボットのドラえもんに頼み、ひみつ道具「異説クラブメンバーズバッジ」を出してもらいます。
バッジを付けた人だけが、長いこと信じられていた「異説」を「通説」にすることができるこの道具を使い、のび太はドラえもんと一緒に月にウサギの王国を作ります。
のび太はジャイアン、スネ夫、しずかといういつも一緒に遊んでいるメンバーに加え、今回は転校生の少年ルカも一緒に月の王国へ連れていきますが、そこで出会ったのはエスパルという超能力を持った子供たちで、ルカはそのエスパルの一人なのでした。そして、ルカ達エスパルを狙う宇宙人達との戦いに巻き込まれてゆきます。
毎度お馴染みのベテラン声優さんたちに加え、エスパルの少女ルナの声優を務める女優広瀬アリスさんや、エスパルを捕らえようとする敵のゴダート役の俳優柳楽優弥さん、黒幕のディアボロ役の俳優吉田鋼太郎さんなど、ゲストキャラクターの声優さんたちの演技にも注目です。
子供の頃に誰もが憧れた月の裏側世界への冒険には、間違いなくワクワクさせられることでしょう。
そして、なぜエスパルたちは月に住んでいるのか。なぜルカは地球の小学校へ転校して来たのか。エスパルたちを捕らえようとする敵の目的は何なのか。のび太達はエスパルたちの危機をどのように救うのか。多くの謎が明らかになっていく展開がこの映画の見どころと言えます。
アニメ映画ではありますが、展開が非常に早く大人でも物語の世界にのめり込んでしまいました。そして、エスパルの子供達とのび太達との友情や、エスパルの子供達と両親との絆など、感動させられる要素もとても多く、十分に見応えを感じられました。
さらに、メインのキャラクター以外にも、お笑い芸人の中岡創一さん(ロッチ)や、高橋茂雄さん(サバンナ)などが出演していましたが、本職の声優じゃないとは気が付かないくらいに演技が上手で、映画の世界に馴染んでいた点に感心しました。
物語の最後にはルカ達の決断により、のび太達とは別れることになりますが、その後の未来を想像させるような結末となっています。
これまでのドラえもんの映画作品の世界をしっかりと守りながらも、素敵な小説を読んだかのような気持ちになる作品でした。
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