見てはいけないもの

私の初めての心霊体験

私の人生で初めての「見てしまった」体験談をお話ししたいと思います。

何を見てしまったのかと言うと、何と〈幽霊〉です。

私は、これまで長らく生きてきて、心霊体験など皆無で、そのような気配さえ感じたことはありませんでした。

そのため、その部類のことには懐疑的なタイプの人間でした。

そんな私の初めての心霊体験は、仕事帰りの道すがらでした。

私は医療事務として病院に勤務しており、レセプト(診療報酬明細書)請求の時期はどうしても帰りが遅くなってしまいます。

やっとの思いで、その日の仕事を終え、夜の10時過ぎ頃、車に乗り帰宅の途につきました。

しばらく運転を続けて、10分くらいのところに橋があります。

その橋を渡っていると、橋を渡り終えた少し先あたりに、歩いている人の足が見えました。

あたりは街灯もなく、私は、真っ暗なので車のライトに照らされた足元のみが見えたのだと最初は思いました。

しかし、いよいよ近づくと、何と膝から下の足だけが歩いていたのです。

その足は、だいたい二十代から三十代くらいの男性の足のようでした。

それくらい、はっきりと姿が見えることに、私は驚き恐怖を感じました。

どんなに目をこらしても、膝から上の身体がないのです。

すなわち、私が見たものは間違いなく生きている人間ではないことになります。

私は、人生で初めて幽霊を見てしまいました。

どんどん近づくと、ぶつかる寸前のところで、その足はスッと消えたのです。

私はあまりのことに、心臓はバクバクでひんやりとした汗が全身から吹き出しました。

帰宅すると、私はヘタヘタと玄関に座り込み、しばらく動くことができませんでした。

家族は怖がりばかりなので、あえて私が体験したことは話しませんでした。

私は今でも、その膝下だけの幽霊が履いていた靴まで、未だに覚えており、忘れることができません。

後日、その話を同僚にしたところ、その橋の周辺では、膝から下の幽霊の目撃情報がちらほらあるらしいとのことでした。

それを聞いて、私はあの日の出来事は、やはり見間違いでも、夢でもなかったのだと改めて背筋がゾッとしました。

初めての心霊体験をしたその日を境に私は、あの橋を通らず、回り道をして帰るようになりました。

この世には、生きている者以外の存在があることを私はその日以来、信じるようになりました。

しかしながら、二度とあのような者の姿を見ることがないことを祈るばかりです。

そして願わくば、あの幽霊が成仏してくれることを願わずにはいられません。

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