私は高校生の時、一目惚れを経験しました。
体育祭の時に活躍する応援団で、副団長をしていた人がすごくかっこよかったのです。
かっこいい人なら、普通はよく喋ったり、女の子にモテモテでモテオーラが出ていたりしますが、彼はなぜか寂しげな雰囲気が出ていて、キャーキャー言われる人でもありませんでした。
私も応援団をしたのですが、彼は団が違ったので話すこともありませんでした。
ただ、ものすごく惹かれる人でした。
ある日、野球部が試合をするというので見に行きました。
そこには彼が応援をしに来ていました。
いつももの静かで、それでも一生懸命声を張り上げていました。
クールなところと不思議な雰囲気に、なぜか目が離せなくなりました。
話したことはありませんが、なぜか見かけるたびにどんどん好きになっていきました。
私はあまり恋愛経験がなく、男性と話すことが苦手だったので、一目惚れしてもどうしていいか分かりませんでした。
彼はイケてるメンバーには属しておらず、孤高の人という感じでした。
それでもやはりイケメンなので、女子たちに囲まれることがあります。
その時もその雰囲気に飲み込まれず、少し照れているところを見て、胸がはちきれそうなくらいドキドキしました。
彼は2つ年上なので、私が2年になったらもういませんでした。
他にかっこいい人や気の合う人もいました。
でも彼のことは頭の片隅にずっと残っていました。
大学の頃は別の人と付き合いましたが忘れられずにいました。
そして社会人。新入社員としてある企業に入社したとき、ばったり彼に出会ったのです。
全く変わらぬその様子に驚いたのと、予期せずまた出会えたことに倒れそうなくらい嬉しかったです。
研修の時に、思い切って声をかけました。
高校が同じだったんです、応援団でしたよね?と。
彼はそうだよ、知っててくれたんだね。と優しく話してくれました。
よく話を聞くと、母子家庭で育った彼。
小学生の時父親を事故で亡くしたそうです。
驚くことにそれは私も同じ。
私も母が病気で亡くなり、小学生から父子家庭で育ったのです。
あのもの寂しげな雰囲気と、誰かに媚びない生き方は、そのせいなのかもしれないと感じました。
私が感じてきた孤独と、よく似たものを彼も感じていたのかもしれません。
そのあと、何回か飲みに誘いました。
4回くらい楽しく食事しました。
メールもしました。
ただ、全て私からのものでした。
運命を感じていましたがどこか距離を感じて、自然と連絡することはなくなり、私も相手も別々の人と結婚しました。
ただ、すごく恋愛下手だった私が彼に惹かれて、ずっと思い続けてきたのは、とても不思議な思い出です。
恋愛下手だった私が、ずっと思い続けてきた人