見てはいけないもの

仕事中に見てしまった研究員の弱み

私は以前、ある研究機関で研究室のアシスタントして働いてことがあるのですが、最初に担当していた研究グループは脳の神経や機能について研究を進めるために、ラットやマウスなどの実験用の動物を使って様々なデータを集めていました。

私は実験室に入って実験を行うのではなく、実験に必要な機材や試薬などの調達処理を行っていましたので、実験用のラットやマウスを専門のブリーダーさんにオーダーしたり、その実験動物が納品された際にその動物をチェックしたり、実験が終わって処分された動物を専門の業者さんに引き渡す手続きのみを行っていました。

でもそれだけでも、実験のために犠牲になってしまった動物たちのことを思うと心が痛みました。

そしていくら実験データのためだと言っても、生きているラットやマウスたちを解剖して脳みそを取り出したりしている研究員や技術員たちは平気なんだろうか?とちょっと疑問に思っていました。

なかには女性の研究員もいて、彼女も実験動物を処理しながら行う実験に参加していたのでよくそんなことが出来るなと感心していました。

そんな中、別の研究機関から新しい研究員Yさんが入ってきました。

彼はいつも自信満々で強気の発言をする人でしたが、それまで在籍していた研究機関でたくさんの論文を出してきた実績がある人でしたので凄い人が入って来てくれたことを嬉しく思っていました。

そしてそんな優秀な研究員のサポート役として働くことが出来ることに喜びを感じていました。

でもある日、彼のビックリする姿を見てしまったのです。

それは私が実験後に処分されてしまって冷凍されているラットやマウスを専用の業者さんに引き渡すために、動物実験室の入り口にある冷凍庫に行った際に、その研究員Yさんが実験用のラットの扱いに奮闘している姿でした。

彼はラットの扱いに慣れている様子はぜんぜん見られず、逆にラットを怖がってビクビクしながら触っているように見えました。

普段の自信満々の言動をしているYさんとはぜんぜん違う姿でしたので驚きました。

そして見てはいけないものを見てしまったと焦ったため、手に持っていた冷凍された実験動物が入った大きな袋を床に落としてしまいました。

その音に気付いたYさんは私の姿を見て苦笑していました。

そしてその後、Yさんが私の所に来て、Yさんがラットの実験を恐る恐るやっていた事は誰にも言わないで欲しいと懇願して来ました。

彼の話によると、その研究室に転職する際の面接の際に動物実験は慣れていると言ってしまったので、本当は苦手だけど頑張ってやるしかないんだとの事でした。

それを聞いた私はYさんのことを気の毒に思って、その事は誰にも他言しませんでした。

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