お料理教室での辛い思い出
かつて私はお料理教室に通っていました。
料理について何の知識もなく、勉強したいと思ったからです。
選んだのは、家から一番近い場所にある、小さな料理教室でした。
ですが、まさかそこに鬼がいるとは思わなかったのです。
・鬼がいた
先生はとても優しくて、若くて綺麗な方でした。
私のように何も知らない無知な生徒でも、とても丁寧に説明してくれたのです。
「そうです、すごいですね」とか「とても上手です。これならすぐにプロになれますよ」とお世辞も混ぜつつ褒めてくださるので、モチベーションもかなり高かったです。
しかし、それを撃ち砕いたのが、私が鬼と呼んでいた中年の女性でした。
彼女は自分のテリトリーに踏み入れるのをよしとせず、気に入らない人には酷い態度を取るのでした。
私が初めて挨拶をした時も、まるで私が見えていないかのように無視をし、こんにちはの一言もありませんでした。
また、ほかの生徒の方は彼女に好かれようと、にこやかに駆け寄っていくのです。
私には訳がわかりませんでした。
ただ、あの人は苦手だと直感しました。
まるで私を蔑むかのような目。
上から下までじろじろと、まるで鑑定しているようでした。
そして、彼女のその態度が、徐々にいじめへと変わっていったのです。
・ついにいじめられる
ある時にきんぴらごぼうを作っていたのですが、鬼の女が私の元に来て、ひょいと口に入れたのです。
突然の事に呆然としていると、「うわっ、まずっ」と聞こえるか聞こえない声で呟いたかと思うと、女性の集団の中へと紛れ込んで行きました。
そしてひそひそと話し出すのです。
「あの子のきんぴらごぼう、すごく不味いわよ。」と言っているみたいでした。
その瞬間、今までのモチベーションも一気に下がってしまい、孤立感が芽生え始めました。
鬼の女は、先生の前では人が変わったようにニコニコとしています。
先生は私へのいじめに気付いていないようでした。
・先生に相談する
ある時、先生に相談をしました。
「あの人が、私の事を冷やかしていると。」ですが先生の言葉は衝撃的でした。
「確かに彼女は誤解されやすいですけど、お料理も上手で、優秀な生徒さんですよ。
学べることも多いので、そうやって好き嫌いをつけずに、お話してみて下さい」と。
私はかっと頭が熱くなっていくのを感じました。
その瞬間、全てがどうでも良くなったのです。
私に味方はいない。そう思い、料理教室をやめました。
・まとめ
きっと、「最近の人は続けるのも出来ないのね」「あんな料理の腕で、もう満足したのかしら」と言っていることでしょう。
私にとっては苦く、辛い思い出です。