私が以前勤めていた会社は、かなりひどかったんです。
小さな雑貨店でしたが、そこの従業員はとにかく仕事をしないで、いつもお喋りばかりでした。
品物には埃がかかり、これではお客様がきても売れるはずはありませんでした。
そのなかでも、特に一番古株のおばさんは悪質で、勝手に人の持ち物を漁ってくるんです。
私が帰り支度をしようと従業員用の部屋に入ると、私のバッグを勝手に開けて、メイク道具を使っていたんです。
さすがに黙っていられなくて注意をすると、そのおばさんは、わざとらしく驚いたふりをして、「間違えちゃった」と言ったのです。
そんなバカなことがあるはずはありません。
バッグの色もサイズも違って、中身も全く違うのです。
それからも、そのおばさんは好き勝手していました。
お店に置いてある商品を壊しては他の従業員のせいにしたり、勝手に値札を張り替えて店を混乱させたりと、やりたい放題でした。
なぜ他の人はこのおばさんに従うのかと思ったら、どうやら店長の知り合いらしく、そのため誰も逆らえないのだそうです。
でも、このままではいけないと思った私は、店長にそのことを話したんです。
怒った店長が店にきて、そのおばさんをかなり叱りました。
これで、おばさんはおとなしくなると思ったら、なんとパワーアップしたのです。
他の従業員をそそのかして仕事をボイコット。
残されたのは、私ともう一人新人の女の子だけでした。
とてもではありませんが、二人だけではやっていけるはずがありません。
なんとか仕事に戻るように言っても、知らん顔。
自分が悪いのに、この酷い態度はないと思いました。
お店が繁盛しないのも、空気が悪いのも、すべてたった1人のおばさんのせいなんです。
それなのに、なぜ正しいことを言ったはずの私が追い込まれるのか、納得はできませんでした。
店長に言おうと思ったのですが、なんだか何をされるのかわからない怖さもあって、言うことができませんでした。
結局、1年近く勤務して辞めることにしました。
私は、いろんな会社でアルバイトをしてきましたが、ここまで酷いところは、正直ありませんでした。
私が辞めた後、そのお店はリニューアルオープンしていました。
チラッと覗くと、あのおばさんの姿はなく、上品そうな中年の女性がテキパキと働いていました。
きっと、あのおばさんのことが店長にもわかったのでしょう。
いろんなことがあったので、そのときには、なんとなく嬉しい気持ちになりました
私が勤めた酷い会社