見てしまった

人当たりがよく、仕事が出来る。そんな彼女の正体

私は工場で働いてるパート従業員です。

これから同じ職場で働く、とても仕事のできる彼女の話をします。

彼女は1児の母で、朝から子供のお迎えに行く時間までのシフトで働いています。

メインになる業務のかたわら、いろいろな人に別の仕事を頼まれて難なくこなしていました。

頼まれる仕事の内容は、他の製造で使う部品の用意をしたり、パソコンの入力作業までさまざまです。

なかにはその人の作業を止めてまで別の仕事を頼む人もいましたが、彼女はいやな顔ひとつせずにその仕事をこなして自分の仕事に戻ります。

本当にこの人はなんでも出来るんだな…とガラス窓で仕切られた別室で働いていた私は、そう思いながら彼女を見ていました。

でも、私は見てしまったのです。そんな彼女が豹変する時を。

ある日、彼女はすべての仕事が終わって帰ろうとしていました。

残っていた私に帰りのあいさつをし、お疲れ様ですと言ったとたんに作業室のドアが勢いよく開きました。

他の製品を作っている部署の人が入って来ていきなり、「今すぐこの部品作って!よろしく!」と言い捨てて、仕様書を置いて出ていきました。

一瞬、場が固まりました。

彼女の顔が少し曇った気がしましたが、彼女はその仕様書を手に取りその部品を作り始めました。

その部品を作るのにおよそ40分ほど、部署に届けるまでが5分ほど。後片付けもあるので1時間弱かかる仕事です。

これはつらい…帰ろうとしていたのに…と思いながら私は道具を取りに別室に行きました。

彼女はどんな思いで部品作るんだろう…と思いながら私が道具を持って戻ると、そこには荒れ狂う彼女の姿がありました。

ものすごい形相でごみになるダンボールを蹴る、罵詈雑言の嵐…というより、まさに彼女が嵐でした。

今のことに対しても、「私が帰ろうって時に持ってくるなよこんなもの!タイミング考えろ!やるけど!」などと怒鳴り散らしていました。

たしかに夕方になっており、大半の人は帰っている時間です。

私が別室に行っていたので一人になったと思ったのでしょう。

当然、彼女のこんな姿を見たのは初めてです。

無理な仕事や雑用をたくさん頼まれていて、ストレスが溜まってたのかなと同情はしますが、ここまで豹変するととても怖いです。

私は、見てはいけないものを見てしまった、という思いでいっぱいです。

そんなに不満をためてるなら、もう少し肩の力を抜けばいいのに…と思います。

でも私が姿を見せると、何事もなかったかのように平然と作業をしていました。

つい、大変ですね…お迎え大丈夫ですか?と声をかけましたが、彼女は笑って、「大丈夫、時間ギリギリになるけどなんとか間に合うから」と言って作業を続けました。

彼女は私がさっきの豹変しているところを見ていたなんて思っていないでしょう。

いつもにこにこと仕事をこなしていた彼女にあんな恐ろしい一面があったなんて思いもしませんでした。

私も彼女を頼っていましたが、今後はもう少し頼る回数や内容を考えようと思います。

以上、パート仲間の見てはいけないものを見てしまった話でした。

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