大学を卒業して社会人になるまでは、普通に暮らして目標を持って、それなりに自分の夢を叶えるために出来る限りの努力をしてきたので、自分が人生をやり直さなければいけなくなるとは思ってもいませんでした。
社会人1年目は社員として働く事が初めてだったのと、周りの友人がどんな働きぶりをしているか知らなかったのですが、後から振り返ってみると、かなりブラックな会社で働いていており、残業代も出ず土日出勤は普通の事だと思っていました。
会社全体がそういう人ばかりで、年俸制だったので残業手当も休日出勤手当も無く、頑張って働いてる同僚とランチに行ってお洒落な昼ご飯を食べて、お茶をして、また頑張って働いていました。
そして帰りは夜の23:00頃が終電だったので、普通に夜まで働いて晩ご飯を食べて、終電間近まで働いていました。
帰りは自宅まで2時間程かかるのと電車は座れたので、帰りの電車の中でも仕事をしていました。
まだ若かったので元気だったのと、好きな仕事だったので特に何の疑問もなく、与えられた仕事をこなす毎日で、時には夜勤に加えて朝まで仕事をしていた事もザラでした。
就職氷河期だったのもあって、就職をするのに何十倍もの競争で入社出来た第一希望の会社に入れたので、働くのがむしろ楽しかったのです。
初年度の夏休みは当然7〜8月に休みを取れるはずがなく、9月に入ると、何となく働くのは疲れるなとストレスが少しづつ溜まる様になりました。
付き合っていたアメリカ人の恋人がアメリカに帰ってしまったので、メンタル面での支えがなくなって、ポッカリと胸に大きな穴が空いてしまった様で、自分っていったい何をしてるんだろう!?という話を同僚とチラホラ話だす様になりました。
さて、夏休みを取る時期が来たのですが、休日出勤の振替がもらえる事にもなったので2週間ドーンとずうずうしく夏休みを取って、アメリカのカリフォルニアの元恋人の所に遊びに行きました。
カリフォルニアでも裕福な方々が住むのどかでお洒落な街の別荘に泊まり、仕事まみれだった日本の生活から解放され天国の様な毎日で、有名なパンケーキ屋で食事をするだけでも凄く幸せで、見るもの全てがキラキラ輝いて見えました。
そんな時にサンフランシスコにあるフィッシュマーケットに行って店の間を歩き回っていたら、ふとクラムチャウダーをかき混ぜてる人が目につき、この人の仕事はクラムチャウダーをひたすら温めてかき混ぜて、器に注ぐ毎日が仕事なのか...と、何か眼から鱗が落ちた様に、自分の人生とクラムチャウダー屋さんの人生を比べていました。
色々な仕事があって、何気ない仕事をしていても幸せにくらしている人もいるのかと、涙がこぼれそうになり、自分の中で何かが変わりました。
まだ一年も経っていない職場でしたが、直ぐには辞められないので、仕事を頑張りつつ、上司に相談に乗ってもらい、別の部署に移してもらったのですが、それでも何か人生って違うという気持ちが強くなり、退職してフリーランスで仕事をする事になり、自分の人生をやり直す事にしました。
それまでの自分の人生は大変ではありましたが、好きな会社の仲間と楽しい仕事が出来たのでいまでもFacebookでやりとりをしたりしています。
もう22年も前の事ですが、苦しみを一緒に味わった仲間とは、今でも文句一つ言わず楽しかった思い出となっています。
人生は、気づいた時からいくらでもやり直せる!