タイトルが気になって手に取りました。店頭にも「このミステリーがすごい!」の隠し玉とキャッチがありタイトルも現代ならではという事ですし、映画も上映中なので迷わず購入しました。
派遣女性社員が主人公で、その彼氏が携帯を落としたところから物語が始まる。
拾い主の男性は主人公に対して丁寧なやり取りの後、スマホを返却するも男性の正体はハッカーだった。
スマホは無事に彼氏の手元に戻ったが、主人公を気に入ったハッカーはスマホの情報をもとにSNSで主人公の監視をし始める。
今までのSNSのやり取り、趣味や写真などの保存データ、出身大学、勤め先、人間関係などの個人情報がたった1台のスマホから丸裸にされていく。
一方で神奈川県の山中からは身元不明の女性の死体が次々と発見されて…。
たまたま携帯を落としたのが主人公の彼氏。
そのスマホを偶然にも拾ったのがハッカー。
そのハッカーの好みの女性だったのが主人公という設定で展開していくストーリーです。
スマホにはもちろんロックをかけていたのですが、専用ソフトで簡単に解読されてしまいます。この専用ソフトも現代ならインナーネットを通じて誰にでも手に入れられるというのもリアルです。
主人公のSNSを監視しているハッカー目線で進んでいく構成もあり、あの手この手で好みの女性に近づいていく執着心はハッカーの過去の経験から作られてきた環境が影響しているのが見え隠れします。
神奈川県の山中で見つかった身元不明の女性死体は警察の操作が難航。
その間、主人公の周りには奇妙な出来事が次々と起こり次第に恐怖を感じる内容は読んでいて飽きません。
今はほとんどの人が持っているスマホを題材にしたとても考えさせれる1冊です。
スマホにはそれなりの個人情報が入っていますのでロックをかけるのは当然です。パスコードや暗証番号ではなく指紋認証の方がセキュリティが高いことや、2段階認証についても面倒臭がらずにこまめに設定することで自分で自分を守ることができます。
またSNSはコミュニケーションを取る上で欠かせないツールになっているのですが、使い方によっては悪用されたり、顔の見えない知らない誰かに覗き見られていたりすることも本当にある話です。
「スマホを落としただけなのに」というタイトルは絶妙です。
本当に些細なことなのですが、たまたま落としたスマホがきっかけで人生を台無しにしてしまう可能性があるかもしれないという事を考えさせられます。
ぜひお勧めしたい本です。
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