苦労

家から逃げるために必死だったあの日

私はお金にだらしないシングルマザーの元で育ちました。

幼少期から電気、ガス、電話などなどが止まるのは日常茶飯事、電話が鳴るとそれは借金返済の催促の電話で小さい頃に知らない男の人から「お母さんは借りたものを返さない泥棒だよ」と責められることも多かったのです。

大人になる頃には家にお金を置いているとお金を盗られると思っていたので置かないようにしたのですが、給料日になると「お金貸して」攻撃、電気などの公共料金は支払わないのは当たり前となり、いつの間には私が払うようになったのですが、私がお金を貸せないと言うと泣き出したり、勝手に私のものを売りに出してお金を作るようになったのです。

時には仕事に大切なものまで売られてしまったり、大切な人からのプレゼントも売られてしまい、更には役所に提出するからさっさとサインしてと渡されたのが実は連帯保証人のサインだったりと、このまま私はここにいたら母に食いつぶされてしまうと思い、家を出て逃げることを決意したのです。

これまでの人生も苦労の連続だったのですが、守銭奴の母から逃げ出すのは更なる苦労でした。

なぜなら引越し費用を全く貯めることができなかったからです。

貯めたくても母に奪われてしまう。

そこで考えたのが、こっそりと職場のロッカーで貯めるということ。

それからは大切なものは会社に置かせてもらうことにして、知らない人から見ると私物を職場に持ってくる非常識な人に移っていたかもしれませんが、洋服やバッグなど置いていたら売れるものは家に置かないようになっていったのです。

更に、通帳などの貴重品などもロッカーにおいておきました。

そうしないと母に見られると、「こんなにあるなら少しは分けて、これまで育てて金を払ったでしょう」と言われたことがあったので、絶対ばれてはいけないと警戒していました。

給料は安く、コツコツ貯めていくしかありません。

出て行くことを計画していることを知られたら阻止されることは分かっていたからです。

すぐに出て行ったらいいのにと思われるかもしれませんが、母のように家賃などが支払えない人生を送りたくないと、ある程度の余裕がないと家を出て新しい人生をスタートできないと思っていたのです。

引越し費用を貯めるのに7ヶ月かかり、更に保証人が不要な家を探すのにとても苦労をしました。

引越しが決まったときには家にものはほとんどなく、私はそのまま鍵を置いて出て行き、携帯電話の番号も変えました。

苦労して母から逃げて数年経ち、母がどうしているか知りません。

しかし、私はあの時の苦労が嘘のように幸せに向かっています。

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