子どもの苦労体験について、少しお話しさせていただきたいと思います。
これは息子がまだ小学生だった頃の話でしょうか。それまでは温厚で優しい子だったのですが、突然暴力を振るうようになってしまいました。
事の発端は一本の電話でした。家で家事をしていると、学校から連絡が来たのです。どうやらクラスの女の子を殴ったとかで、怪我をさせてしまったとの事でした。
一体どうしたのだと急いで学校へ行き、事情を聞きました。どうやら息子が一方的に殴ったらしく、相手の女の子は泣いていました。
これは良くないと思い、相手の方に謝罪し、それから家で息子の話を聞くことにしました。
しかし、彼は何も教えてはくれませんでした。ずっとふてくされていて、何を言っても無視するのです。
「俺は悪くないし」の一点張りです。私としてもかなりショックでした。軽いじゃれ合いなら何も言いませんし、手を上げるなと日頃から言っているのに、一体どこで間違えてしまったのでしょう。
とにかくこの日は何も言わずにそっとしておく事にしました。子どもながらに、何か思うことがあったのでしょう。
それから一週間後、ある変化がありました。それは、夜になってそろそろ寝ようとしていた時に、息子がのっそりと私の部屋にやってきました。どうしたの?と聞く前に察しがつきました。話す気になったのでしょう。
私の隣にちょこんと座ると、ぽつぽつと話し始めました。ですが、その内容は本当に他愛もない事でした。単純にテストの点数で負けてからかわれ、カッとなって殴ったといいます。
私は少しガッカリしました。それで手を上げたとなると、今後どうなるのだと思うのです。息子は人よりプライドが高く、自分の方が偉いのだと思いたいそうです。
私は正直呆れていました。宥めるように、「だからって手を上げたら駄目でしょう」と言いました。
しかし、それが良くなかったのでしょう。息子としては、打ち明ける事で私を味方につけたかったのですから。またぐずりだし、私の腕をぱちんと叩いたのかと思うと、赤い顔をして出て行ってしまいました。
これは、私の対応もまずかったかなと反省しております。単に「いけないよ」と言うだけでは、子どもは納得しません。
同情でも、なんでも良いのです。私に甘えたかったのだろうに、それを突き放す言い方をしてしまったのを後悔しました。
これからはもっと息子を分かってあげたい。一番の理解者であるために頑張ろうと思いました。