私は以前、ある専門学校で英語や旅行業会で働くための資格を教える講師をしていたことがあります。
若い時に旅行会社で働いていた経験もありますし、アメリカに留学した経験もありますので、そんな経験を生かせると思ってその職に就きました。
でも私自身、旅行関係の国家試験にまだ合格していませんでしたので、そんな国家資格について学生たちに教えるのにはとても苦労しました。
でも仕事を終えて帰宅後にその試験について必死で勉強したり、週末にも朝から晩まで勉強して、それを学生たちに教えるための方法も更に勉強して授業の準備しました。
それは本当に大変なことでしたので、とても苦労しましたし、いつもクタクタに疲れていました。
でもそのお陰で私は2つの国家試験に合格することが出来ましたし、学生たちの中にも合格者を出すことが出来て嬉しかったです。
そんな中、新しい学生たちが入学してきて、その中には旅行業界での仕事だけではなく、「通関士」になることを目指している学生がいました。
それまで気付かなかったのですが、その専門学校の説明パンフレットには私が担当している学科の説明書きの中に「通関士」という文言も入っていたのです。
私はそれを知って、どうしたら良いのか分からずに、上司に相談したところ、それまでに自分で勉強しながら国家資格を2つも取ってきた私なので、「通関士」の勉強もしてその学生に教えてほしいと言われたのでビックリしました。
でももうその学生はすでにその専門学校に入学してきているので、私がもし教えることが出来ないとなると大問題になってしまうと思いました。
上司が言うように学生に教えるために一緒に通関士になるための国家資格を勉強することによって、もう一つ、国家資格を取ることが出来るなら良いかもしれないと思いました。
ただぜんぜん知識のない分野の資格でしたので、上司にお願いして通信教育を受けさせてもらうことになりました。
そして送られてくるたくさんの教材を使って、必死に勉強し続けました。
そして自分が理解出来たことを学生に教えました。
通信教育ですから分からない点があると質問することが出来て良かったですし、定期的に模擬試験を受けることによって、自分が間違えやすい分野が見えてきて良かったです。
そしてどんどん理解の度合いが上がって行って、直前の数回の模擬試験でもすべて合格圏内でしたので合格する気まんまんでした。
そして学生にも自信をもって教えることが出来ていましたし、出来れば一緒に合格することを目指していました。
そして週末に行われた試験の会場へ、私の車に学生を乗せて一緒に行きました。
行きは受かる自身があったので二人で楽しいドライブでした。
でも試験が始まって、その試験問題を解き始めた時に血の気が引きました。
なぜなら多くの問題が今までに見たことがないパターンのものだったからです。
何度も模擬試験や参考書の問題を解いてきましたが、それとは全く違う問題がいくつも入っていたので呆然としました。
明らかに試験に落ちたと思ったので、試験後に学生をまた乗せて車を運転している間もショックを隠し切れませんでした。
そして私はやっぱり不合格でした。
それは久しぶりの挫折でした。
その前に受けた国家試験は必死に頑張って合格することが出来ていたので調子に乗っていたのかもしれません。
でもその挫折は私にとって本当にショックでしばらくの間、立ち直ることが出来ませんでした。
なぜならその試験のために私は本当に多くの時間と努力をつぎ込んできたからです。
あんな挫折感はもう二度と味わいたくないと思いました。
必死に頑張った国家資格の勉強が無駄になってしまった挫折